「ソロモンの偽証」その死は自殺か殺人か・宮部みゆき、成島出が表現する命の重み
「ソロモンの偽証」がレンタルになっていました。
前篇、約121分
後篇、約146分の、
長い長い映画です。
宮部みゆきの作品は好きで、
「名もなき毒」「ペテロの葬列」「パーフェクト・ブルー」
など観ています。
今回の「ソロモンの偽証」も、ペテロの~のように、
公式サイトもキリストの最後の晩餐のようになっています。
そそる題ですが、映画があったのは知りませんでした。
ネタバレにはならない程度に。
ソロモンの偽証
嘘つきは、大人のはじまり。
前篇
記録的な大雪が降った、クリスマスの朝、
休み中に学校に行った涼子と友達が、
クラスメートの遺体を発見した。
自殺か、
他殺か。
学校に届いた3通の告発状は、殺人。
告発されたのは、いじめグループのクラスメート。
一つは涼子に、
一つは学校に。
もうひとつは。
はたして柏木くんは、ほんとうにクラスメートに殺されたのか。
目撃者はほんとうに目撃をしたのか。
目撃者は誰か。
告発状を送ったのは誰、何の目的で。
隠ぺいしたい学校。
もう大人たちには任せてはおけない。
ほんとうの真実にたどりつくために、
生徒たちだけの学校内裁判が開廷される。
後篇へと、、、
感想ですが、
前篇は、ほぼミステリーとホラーの表現が強く、
謎も多い構成になっています。
いじめもエスカレートしてる時代、もう暴力と言ったほうがいいこの時代、
映像も見るに堪えない暴力のシーンがありましたが、
これはきっとどこかで、現実にもあるんだろうと思います。
ちょっとのいじめがエスカレートする。
そうなると、やられた子供はつぎにどうなるのか、
どう思うのか、どのくらいつらいのか、
映画でわかりやすく表現されていました。
学校はこの事件をうやむやにしたいので、
先生たちは信用できません。
なので、生徒たちが話し合って、
生徒だけで裁判をおこします。
事件を追っていくうちに、また新たな事件、悲しい事故が起こります。
そして、なぜか他校の生徒が柏木くんのお葬式に来て、
裁判にもかかわってくる。
他校の生徒はなぜ、そこまで裁判にかかわるのか。
後篇は、そんな重くつらい事件を、
裁判が徐々に真実に届いていく。
裁判で語られる「嘘」と「真実」
悲しい事故はどうしておこったのか。
柏木くんは、自殺なのか、殺されたのか。
生徒たちがつくる裁判が、真実にたどりついたあとは、
曇りからふわっと晴れ間が出るような、
そんな終わり方になっています。
生徒役は1万人の中から選ばれた子たち。
まえだまえだのお兄ちゃんもいますが、
それぞれに役とぴったり合っていました。
涼子のお父さん役の、佐々木蔵之介さん、
涼子のお母さん役の、夏川結衣さんの言葉、
映画を観たあとでこの動画を見たら、ぐっときます。
成島出監督の言葉、
「今、ゲームが終われば簡単にリセットしてもう一度できる、
命の重みがおかしくなっている
この映画でショッキングだったりホラーチックに見えるかもしれないが、
命はほんとに重いんだ、ゲームじゃないんだよということを映画で表現したかった」
後半のテーマは「勇気」
「救済」になり、この子たちががんばったおかげで
「希望」が見えてくる。
今の学生、子供たちが抱えている問題や心の闇、
友達関係に問いかける映画だと思います。
この映画を観て、もういちど、
いじめや、暴力、命の重みを考えてみてください。
主人公は今まで演技をしたこともない藤野涼子(役名も同じ)
涼子のお父さんに、刑事、佐々木蔵之介
涼子のお母さんに、夏川結衣
涼子の担任に黒木華
天皇の料理番のトシ子は素晴らしい演技でした。
学校の校長に、小日向文世
この俳優は脇を固める素晴らしい演技をしますね
先生方に、安藤 玉恵、松重豊、木下ほうか、
同級生のキーマン、樹里の母親に永作博美
同級生松子の父に、ドランクドラゴン塚地
錚々たる俳優たちが映画を支えます。
映画、ソロモンの偽証、
宮部みゆき、成島出が表現する命の重み
誰もなりえる「口先だけの偽善者」
「嘘」に隠された真実とは何か。
生徒たちだけであばかれる真実に、
きっと感動と爽快感を味わうでしょう。
良くできてる映画だと思いますよ。
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